とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。


 僕たちの国がある大陸から南へ三百キロメートル進んだ海の上に、巨城が宙に浮いている。魔法の力なのか特別な魔石を使っているのか、その海のど真ん中に浮いている城が魔法連盟の拠点となっていた。
 当然空中に浮いているので、船でやってきても上陸できない。

 魔法を使って空から入らなければ、受け入れてすらもらえないのだ。空を飛べるくらいの風魔法は操れたので、難なく魔法連盟の城門へとやってきた。

 ここで第二の関門だ。城門には透明の魔石が嵌め込まれていて、鍵の役目を果たしているらしい。魔石の横に掲示されている説明では、一定以上の魔力を込めなければ扉は開かないと書かれている。

「属性は問わずか……それなら」

 僕は得意の氷属性の魔力を込めた。透明の魔石から光が流れ、城門いっぱいに装飾されている幾何学模様へと流れていく。やがてゆっくりと扉は開かれた。

「よし、最短で終わらせて戻ろう」

 城の中に入るとグレーのレンガ造りでガッチリとした建物で、華美な装飾はなく質素な印象を受けた。目の前に受付らしきものがあったので、受付の女性に声をかけた。