とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。


 殿下に王女の処分を確認した後、僕は真っ直ぐにタックス侯爵家の屋敷へ戻った。
 ジークには今日の出来事を話して、僕の代わりにリアを毎日送迎すること、これからやろうとしていることを伝えておいた。

「ライオネル様、本気で言ってます?」
「なんにだってなってみせるさ、リアのためなら」
「はあ、さすがにマジックエンペラーを目指すとは思いませんでしたけど」
「それくらいでないと、何者からもリアを守れないとわかったんだ。いつもみたいにできるまで努力するだけだ」

 ただひとつ気がかりなのは、この認定試験は外界との接触を絶たなければいけないということだ。調べたところ、特殊な結界の中で試験を受けるらしい。これは万全の準備をしていかないと試験どころではない。

 殿下宛ともう一通、僕がいない間にリアのことを頼める人物シルビア公爵令嬢に手紙を書いた。なにかあれば魔法連盟宛に知らせを出してほしいこと、できるだけリアの力になってほしいとそれぞれに依頼する。
 万が一僕がいない時にリアの領地に被害が出ては困るから、全員に口止めしてある。

「よし、準備は整った。父上に挨拶してから行く。ジーク、リアを頼む」
「はい、お気を付けて。ハーミリア様ができるだけ平穏に過ごせるように尽力いたします」

 そうして父上に、なにがあってもリアとの婚約を破棄や解消はしないと宣言し、魔法連盟に行くと報告して屋敷を旅立った。