とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。


「続いて、ライオネル令息の婚約者であったマルグレン伯爵の令嬢ハーミリアは、なんと帝国の第二皇子であるクリストファー殿下と婚約されることになった!」

 さらなる重大発表に会場の貴族たちはざわめきたった。王族が上がる壇上に視線を向ければ、マリアン様がニヤリと醜く笑っていた。

 隣のクリストファー殿下を睨みつければ、同じように口元を歪ませて傲慢な笑みを浮かべている。

「これでお前は俺のものだ。マリアン王女はいい仕事をしてくれたよ」

 なるほど、これが目的だったのね……! しかもこのふたりが裏で手を組んでいたなんて!

 それならわたくしにも考えがあるわ。綱渡りの賭けになるけど、このまま黙って受け入れるつもりなんてない。例え不敬罪に問われても、こんな理不尽に屈したくない!!

「国王陛下、僭越ながら意見を述べてもよろしいでしょうか?」
「ハーミリアか。うむ、せっかくの祝いの席だ。申してみよ」

 わたくしは、凛と美しく見えるように背筋を伸ばした。