わたくしがあきらめなかったから、呪いにかかった時に想いを打ち明けられたのだと思う。

 どちらかだけの努力では、愛は続かない。互いに与え合うから育まれていくのだ。

「クリストファー殿下、わたくしはライル様だから一途に愛せるのです」
「だから、その婚約者がいなくなれば、俺を愛せるだろう?」
「そうではなくて——」
「ごきげんよう、クリストファー殿下、ハーミリアさん」

 突然割り込んできたのは、マリアン様だ。
 その手には王家の封蝋が施された手紙を持っている。

「ごきげんよう、マリアン様」
「なんだ、俺とハーミリアの時間に無粋だな」
「まあ、それは申し訳ございません。ですが、こちらの招待状をどうしてもおふたり一緒の時にお渡ししたかったのです。どうぞこの場でご覧いただけますか?」

 そうして差し出されたのは、夜会の招待状だった。王家主催のもので、重大発表があるから招待状を受け取った貴族は絶対参加と書かれている。これはわたくし個人宛となっていた。