とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。

     * * *

 ライル様と会えなくなってから一カ月以上が過ぎた。

 毎日迎えに来る朝の馬車に、今日こそライル様が乗っているのではと期待して落ち込むのを何度繰り返しただろう。

 ジークに送迎はいらないと言っても、ライル様からの指示だと返されるばかりだった。

 せめてわたくしの想いだけでも伝えられればと、手紙を託しているが返事は一向にこない。

「ねえ、ジーク。ライル様はどうしてわたくしに会いにきてくださらないの? 貴方ならなにか知っているのでしょう?」
「ハーミリア様……申し訳ございません。今はなにもお話しできることがないのです。ひとつ言えるのは、ライオネル様はなにも変わっていないということです」
「……そう。わかったわ」

 ジークとの変わらないやりとりも、これでもう十数回目だ。

 馬車の窓から見える景色は変わっていないはずなのに、今のわたくしにはなんの色もついていないようだった。

 道端に咲いている花も、風に揺れる木々も、澄み渡る空も、なにもかも灰色に映っていた。