それは婚約や婚姻に関しては王家が口を出さないというものだ。もちろん互いに思い合っていて、問題がなければ王族とその五家の間で縁が結ばれることもある。
だが、間違っても王命で婚約を了承させるようなことをしてはいけない。
もしもそんなことをしたら、それぞれの家門の力を使って国から離反してしまう。
それだけの事を過去に先祖たちがやってきたのだ。
婚約者だった五家の令嬢を卒業パーティーで冤罪をきせて追放したり、婚約者がいた令息を王女が見初めて無理やり結婚したのに愛人を囲い虐げた上に離縁したり、まあ、そんなことばかりやらかしてきたのだ。
だからこそ私たち王族は婚約者を決めず、国のために駒として縁を結ぶ道具の役目を果たさなければならない。それが忠誠を誓う代わりに突きつけられた条件なのだから。
叶うなら想いを寄せるあの人と結ばれたいが、期待はしない方がいいだろう。
「ライオネルへ手紙を書く。それから——」
私はただ、自分の役目を果たすことに専念した。



