もともと父と母に甘やかされて育てられたから、わがままで我慢ができない性格のマリアンが王族として問題なくやっていけるのか不安だった。
目をつぶれる範囲ならそのまま卒業させようと思っていたが、さすがにやりすぎだ。
私の側近であるライオネルを脅迫し、その婚約者であるマルグレン嬢を害し、帝国の第二皇子も巻き込んで婚約者を得ようなどありえないことだ。
私たち王族は国勢の状況によって必要な縁を結べるようにするため、あえて婚約者を決めていない。この学院を卒業する時に卒業パーティーで婚約発表するのが慣例だ。それを自分の気持ちひとつで決めるなど、なんと浅はかなことか。
「父上はマリアンのわがままを聞くつもりのようだな。なんとか卒業まで国王でいてもらいたいのだが……」
「これで婚約解消されてしまうと、タックス侯爵家が国から離反します」
「ああ、それをわかっているから今までは受け流していたはずだが、クリストファー殿下が現れて判断を誤ったのかもしれない」
側近であるソリアーノ侯爵家の嫡男アベルの言葉に、危機的状況だと現実を突きつけられる。
王家に絶対の忠誠を誓い王家の守護者と呼ばれる五家貴族。結界の守人トライデン公爵家、国境の盾モラクス公爵家、魔術の神タックス侯爵家、導きの叡智ソリアーノ侯爵家、剣の鬼神シュミレイ辺境伯家とはひとつの約束事があった。



