王女であれば、婚姻することで国同士の新たな交易の契約もできるし、単純に人質として価値もあるから無益な戦を避けられる。帝国から見れば、そこまでの利益がないにしても、わたくしよりも王女の方が何倍も価値が高い。
「俺が皇太子ならそうしただろうが、あいにく妾腹の第二皇子でな。婚姻相手は好きに選べと言われているから王女である必要はないし、野心の強い女に興味はない」
なるほど、あくまでもお兄様である皇太子様を支える立場を目指されるのね。マリアン様はそんなに野心の強いお方だったかしら? どちらかというと常に自分が一番でいたいような印象ですわね。
ああ、確かにそうなると将来的に夫も一番がいいと言い出しかねないわ。でも、野心というならわたくしだって。
「わたくしにも野心はございます」
「へえ、どんな野心だ?」
意外だと言うようにクリストファー殿下は驚いた表情をする。視線で続きを促されたので、胸を張って力いっぱい答えた。
「ライル様を世界一の領主にすることですわ!」
「……俺は、お前のような女に愛されたいと思うぞ」
ですから、どうして、そうなりますの?
どんなに頑張ってみても、自分の都合のいいように受け取るクリストファー皇子に脱力するばかりだった。
帰りの馬車で迎えにきたジークの顔を見て、やっと皇子から解放されると少しだけホッとした。



