だから、なぜそうなるのか。
そもそも今までの女たちと言うくらいだから、これまでも婚約者や恋人のいる女性に言い寄ってきたのだろうか? そんな傲慢で節操のない男は願い下げだ。
わたくしは陰で必死に努力し続け一途に思ってくれる、ライル様のような真面目な男性が好みなのだ。
「いくらクリストファー殿下でも、他国の婚約者がいる令嬢にアプローチするのはいかがなものかと思いますわ」
「確かにな。では婚約解消するように俺から話をつけよう」
「おやめくださいませ。わたくしはたとえ婚約解消されても、ライル様しか愛しませんわ」
「それでもかまわない。俺のものなれば、相手の男などすぐに忘れるさ」
これがライル様に言われたセリフなら、今すぐその胸に飛び込んで「今すぐライル様のものにしてくださいませ!」となるのだが、強引に自分の思い通りにしようとする皇子から言われてもまったく心に響かない。
むしろ今すぐこの場から逃げ出したい。
「おい、次にハーミリアの陰口を叩くならこの俺が容赦しない。そのように話を広めておけ」
「はっ、はい! 申し訳ございませんでしたー!!」
女生徒たちは脱兎の如く足速に去っていった。



