そろそろ噂を消したいけれど、出どころがいまいち掴めないのよね……。
そこで口を開いたのは、クリストファー殿下だった。
「おい、君たちが話しているのはハーミリアのことか? アバズレだとか捨てられたというのは事実なのか?」
「えっ! いえ、それはこちらのお話ですので——」
「誤解のないように言っておくが、俺はハーミリアを口説くつもりでこの学院に来たんだ。俺の大切な人の陰口を叩くのなら黙っておけない」
「は?」
思わず重低音でこぼしてしまった。あまりに低い声だったためか、誰の耳にも届いていないようで反応はない。ご令嬢たちは真っ青になって俯いている。
なにを言い出すのかしら、この皇子は。
わたくしを口説く? いったいなぜそのような事態になっているの?
「あの、クリストファー殿下。わたくしには婚約者がおりますので、そのような誤解を招く発言は控えていただけますか?」
「なぜだ? ハーミリアが困っていても助けてくれない婚約者より、俺の方が断然いいだろう? 今までの女たちも皆俺を選んできたぞ」
「そんな不誠実なことはできませんわ。それにわたくしはライル様一筋ですので」
「ははっ、この俺を振るのか? さすが俺が見初めた女だな。ますます手に入れたい」



