とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。


 だけど学院に戻ってきてから一週間後、なぜかあの時帽子を拾ってくれた赤髪の男性がわたくしのクラスにやってきた。

「今日からこちらに留学することになりました、クリストファー・ジル・サザランドです。よろしくお願いいたします」
「みなさんもご存じかと思いますが、クリストファー殿下はサザランド帝国の第二皇子様でいらっしゃいます。後学のためこの国にやってまいりました。無礼のないようにお願いします」
「ああ、でも堅苦しいのは嫌いだから気楽に接してほしい。特にハーミリア」

 突然名指しで、しかも呼び捨てで呼ばれる。クラス中の視線がわたくしに集まり困惑していると、あっという間に隣の席の生徒を退かせて座り爽やかな笑顔を向けられた。

「よろしく頼む」
「は、はい……」

 この大陸一の大国であるサザランド帝国の皇子様に、それ以外の返事など許されるわけもなく頷くしかできなかった。