とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。


「ハーミリアさん、荷物は片付きまして?」
「はい、大丈夫です。夕食まで時間がありますし、浜辺に行ってみますか?」

 今日は到着したばかりだから、次の集合は夕食時間になる。それまでは自由時間とされていた。おそらくさっさと荷物を片付けた生徒は、観光したり現地の視察をしたりと行動していることだろう。

「ええ、もちろんですわ! ハーミリアさん、帽子を忘れてはいけませんわよ。海辺は日に焼けやすいと侍女長が言ってましたわ」
「ええ、しっかりと用意できてますわ。さあ、シルビア様、行きましょう」

 ホテルの正面エントランスの前には、五分も歩けば抜けられる海岸防風林がある。木々の間をすり抜けて向こう側に出れば、眼前にコバルトブルーの大海原が広がっていた。

「まああ! 海ですわ! 私絶対にここに来ようと思っていましたの!」

 嬉しそうに満面の笑みを浮かべるシルビア様に、わたくしまで笑顔になった。
 周りを見れば他にも同じ制服を着た生徒たちが海辺に来ていて、散歩したり打ち寄せる波に戯れたりと自由に過ごしている。子供のようにはしゃぐシルビア様に腕を引かれて、わたくしたちも海辺を散歩することにした。