「マリアンが……ライオネル、本当にすまない。この通りだ」
「ああ、申し訳ないですが謝罪は必要ありません。受けるつもりもありませんので」
殿下は顔色悪く項垂れている。仕えるべき主人に対して無礼な態度は重々承知だが、今はそれよりも重要なことがある。返答次第では殿下も敵に認定しなければならない。
「ひとつ確認したいことがあります」
「なんだ?」
「王女はこの国に必要ですか?」
「——っ!」
殿下は聡いお方だ。この質問で僕がなにをしようとしているのか、察しがついたのだろう。殿下が悩んだのはほんのわずかな時間だった。次の瞬間には為政者の瞳で僕を見据える。
「民を大切にできぬ者に王族を語る資格はない。上には私が話を通す。好きにやってかまわない」
「ありがとうございます。我が主人に終生の忠誠を誓います」
そうして僕は侯爵邸に戻りさまざまな準備をしてから、次の目的地へ向かった。



