「キセキ鑑定屋?」
 聞いた事のない名前の店を、知子は何度もリピートした。
「はい、そうで御座います。当店では、お客様の大切なイシに籠った想い出を甦らせるサービスを提供しております。貴方のその薬指に付いている大玉のルビー、さぞかし大切な想い出が詰まっているのでしょうね。」
 知子はルビーのことを言われちらりと左手の指輪を盗み見た。
 そして視線を男に合わせるとこう言った。
「あの、先程イシを通じて想い出を甦らせるって言いましたよね。もし、もしできるのなら、私の思い出も、甦らせて貰えませんか?」