「笑い方がわからない」

君の口癖。


君は、いつだって無表情。



変顔をしてみた━━━━━

無表情。


身体をくすぐってみた━━━━━

変わらない。



「僕は君が好きだよ!」

「うん。ありがとう。私も君が好き」

「だったら、笑ってよ?」

「笑い方がわからない」

「━━━━━違うよ。
僕が言ってるのは、表情じゃないよ?
心の話。
まぁ、表情もだけど…」

「心から笑う?
それ、何?」

「そうだね。
言葉では、説明できない。
君は“楽しい”って思ったことはある?」

「楽しい?」

「“嬉しい”って思ったことは?」

「君といると、嬉しい」


「だったら、その気持ちを表してみて?」


すると君は、ゆっくり僕に近づき抱きついた。

「ありがとう!僕も嬉しい!」
僕は抱き締め返し、頬をすり寄せた。

幸せ━━━━━━━!!
何故か、涙が出た。


君と抱き締め合えるだけで、僕は“幸せ”だと思える。



あぁ……このまま、時間止まっちゃえばいいのに……



「どうして、泣くの?」

静かに涙を流し幸せを噛みしめていると、無表情の君が悲しそうに僕を覗き込んでいた。

「え………」

いつも、無表情の君。
表情が変わることなんかなかった、君。

僕は、思わずフリーズする。




「泣かないで?」

君の小さな手が、僕の目元に触れ涙を拭う。





「大丈夫。
私がいるよ?」





君が、少しだけ笑った━━━━━━━━




ありがとう。
君は、僕を安心させる為に頑張って笑ってくれたんだね。


「大丈夫。
悲しいんじゃないんだ!
嬉しくて、泣いたんだよ?
ありがとう!」



これからは、僕が!

君を溢れるくらいの愛で、君を心から笑わせてみせるよ━━━━━!!