「理沙お嬢様…?まだ起きていらしたんですか…?」
「っ…!!碇っ、こっちに来たら怒るわよ…!!」
「えっ、」
時刻は夜の12時を過ぎたところ。
今日は早めにいろいろ済ませてベッドに入ったから、執事の碇だってとっくに寝ているものだと思ったのに…。
微かな物音に起こしてしまったらしく、キッチンの明かりに誘き寄せられたように碇は近づいてこようとするから、止めた。
「なにをなさっているのですか…?明日も学校ですよ理沙お嬢様」
「いーからっ!あなたは寝ていなさいっ!」
「そう言われましても…、」
リビングのドアの前、碇はそわそわと中の様子が気になっているようで戻る気配はない。
お嬢様より先には寝られない───、
そんな執事としてのご法度よりも、私が何をしているのかという興味のほうが大きいのだろう。
「あっ、もうっ!また崩れたわ…!」
「……」
ぽろっと、また形が崩れてしまった。
不恰好なおにぎりが何個も私の手によって作られていく。
今日だった。
調理実習で碇に初めてお弁当を作ったのは。



