もっと求めて、欲しがって、お嬢様。





そう、初めて作ったおにぎりだけはうまくいかなくて。

それだけはエマのほうが上手だと私も認めてしまえるくらい。


きれいな三角には握れなかったふたつを、どうにも碇に見せるのが恥ずかしかった。



「…理沙お嬢様、見せてください」


「っ…、嫌よ、」


「不恰好でもいいんです。それくらい理沙お嬢様が一生懸命つくってくださったものですから、…私は嬉しいです」



ほら、ドキッなんてしないで私。

前からおかしいの…、変なのよ。



「味はっ、たぶん…美味しいわ、」


「はい、」


「ま、丸いおにぎりもあるってバカエマは言ってたし、」


「はい、あります」



やっぱり三角じゃない。

握るだけなのにぽろぽろ落ちちゃって大変で、海苔でも誤魔化しきれなくて。


けれど、私が差し出したふたつを見て幸せそうに笑った専属執事。



「ありがとうございます、理沙お嬢様」



碇はここでも写真をたくさん撮って、齧るたびに美味しいと言ってくれる。

大切そうに食べてくれるけれど、男らしく頬張ってもくれて。


そんな動きにいちいち視線が奪われたって仕方ないのに……。