「ねえ、理沙まであんなの作ってるわよ」
「破壊神に染まりすぎてんじゃないの?やだやだ、あたしはあんなふうにレベル低くなりたくなぁーい」
「貧乏くさいわよねぇ~」
そうかしら?と、堂々と言ってあげても良かった。
でもそれすら時間の無駄だと思って聞こえないふり。
「ハヤセどんな顔してくれるかなあ~」
なんて想像する、かわいい顔をしているエマが隣にいるから。
私もつられたように幸せな気持ちになる。
「碇もきっと喜んで食べてくれるねっ」
「…だといいけど」
「ほら素直じゃないっ!理沙すっごくニヤニヤしてるのにっ!」
「うっ、うるさいっ!」
これは執事へと日々のお礼を伝える特別授業。
クラスメイトのなかで執事のことを一番に考えて作っているのは、きっと私たちだ。
みんな自分の腕を自慢するような料理ばかりで、結局は自分のことばかりなお嬢様たちだから。
「かんせーいっ!」
「…なかなかの上出来ね」
「ねっ!楽しみだね理沙っ」
色とりどりなおかずに、少し変わった具材を混ぜこんだおにぎりがふたつ。



