もっと求めて、欲しがって、お嬢様。





やっぱり私の友達は特殊。

お嬢様の生活には目もくれないような活発さがあって、むしろ庶民的を好んでいるほうが大きい気がする。


見守る執事へチラッと視線を移してみれば、早瀬さんはそんなエマを見て優しい眼差し。

隣の碇も、私を見て同じ顔をしていた。



「ちょっとバカエマっ!醤油入れすぎよバカ…!」


「あーっ!理沙ひどい!バカって言ったー!」


「これはだし巻き卵だから醤油はそこまでいらないの!」


「そんなの知らないもんっ」


「そうしようって言ったのはあんたじゃない!知っときなさいよそれくらい!!」



そこまで大きくないお弁当箱だから、それぞれ同じものをひとつずつ作るんじゃなくて。

一緒に作って分けあって、いろんなおかずを作りたいねって合致。


それにしても大変だわ……。



「これっ、アスパラベーコン巻きって言うんだって!お弁当の定番ってテレビでやってたの!」


「へえ…、食べたことないわ」


「わたしもっ!」



周りはきらびやかな料理を作るなかで、私たちは高級食材を使っているわけでもなく地味だから。

クスクス聞こえてくる笑い声。
それは蔑(さげす)むものがほとんどだった。