けれどエマは良い案でもあるかのような表情をしているから、少し気になって聞いてみることにした。
「なに作るの？」
「ふふっ、はいっ！」
「……これって、」
強引にも渡されたものは、エマが手にするものと色違いをした手持ちのお弁当箱。
「お弁当！わたしはハヤセに、理沙は碇に！それでこのあとお昼だからみんなで食べよーよっ」
「……おせちじゃなくて？」
「そんなの作れないもんっ」
高級おせちなら想像できるけれど、そうではないらしい。
ほんとうに遠足へ向かうような庶民的なお弁当をエマは作る気らしいのだ。
「ここにおかずを入れて、あとはおにぎり作るの！」
「…おにぎりなんて作ったこともなければ食べたことすらないわ」
「じゃあおにぎりデビューだねっ！理沙！」
「……なによそれ」
楽しそう、なんて思ってしまった。
エマと関わっていると、お金がすべてじゃないんだと思わせられる。
周りから見たら“恥ずかしい”なんて思われるだろうし、私も今まではそう思っていたはずなのに。
「いいわね、作りましょ」
「やったーっ！！」
