もっと求めて、欲しがって、お嬢様。





「ねぇ真凜(まりん)はなに作るの?」


「あたしはコース料理でも作ろうかしら。美子(みこ)は?」


「私はチーズケーキ!昔から私の執事が好きなの」



特別授業の内容は、「いつもお世話になっている専属執事に手料理を振る舞う」というもの。

とくに作るものに決まりはなく、和食でも洋食でも、スイーツでも、自分の得意分野でなんでもOKとのことだった。


さっそくクラスメイトたちは和気あいあいと執事のために食材集めから始まった。



「理沙っ!!」



と、案の定バカエマは向かってくる。

この子は料理もダメで、いつも一流シェフにため息を吐かれていたから少しだけ心配だった。



「理沙はなに作るか決めてるっ?」


「どうしようかなって悩んでるとこよ」


「ちょうどよかった!あのねっ、わたしと一緒に作らない!?」


「一緒に?」



「うんっ!!」と、バカエマらしい無邪気な返事が返ってきた。


一緒にって……、

これはお嬢様の腕の見せ所だから、みんなそれぞれ自分の得意料理を作っているのに。