もっと求めて、欲しがって、お嬢様。





「もし佐野様がほんとうにモラハラだったとしたなら、許してもらえなさそうだもの」



私が佐野様の元に嫁いだら、執事と写真を撮るなんてことすらさせてもらえなさそうだ。

そして佐野様とも、こういったものをすることなく冷たい夫婦となっていくんだろう。



「まぁ仕方ないことよね。そういえば明日は佐野様とのリモート対談の日だったかしら、」


「しなくていいです」


「……」



しなくていいです、って…。

それはあなたが決めることじゃない。


あなたは私が佐野様と話しているときは場所を離れて見守る立場なのだから。



「また怒られたらどうするのよ」


「もちろん私が佐野様と話をいたします」


「…なんて言うの?」



どうせ言われる言葉なんか分かってるくせに。

執事の君なんかに言われる筋合いはない───って、一刀両断されるに決まってる。



「もう…私の大切なお嬢様に関わらないでください、と」



“私の”大切なお嬢様、だなんて…。

やっぱりあなたは早瀬さんに影響されすぎている。