もっと求めて、欲しがって、お嬢様。





碇と並んだツーショットは、そんな友達に撮影してもらったもの。

碇は碇でエマの執事である早瀬さんと写った1枚も持っているはずだ。



「ふふっ、見て碇、このバカエマったらテンション上がりすぎてブレてるわ」


「中華バイキングのときですね。理沙お嬢様はライチばかり食べておられましたね」


「……そんなの忘れたわよ」


「私が覚えていますから」



恥ずかしくなってぷいっと顔を逸らしてしまった。


あんなにも楽しい旅行は初めてだった。

温泉もバイキングもぜんぶエマと一緒で、ホテルの部屋だけ違ったのが残念だったけれど。



「私はエマお嬢様と一緒にいるときのあなたが、本当の理沙お嬢様だと思っています」


「…そんなのぜんぶ私よ」


「いいえ。あなたは少し背伸びをしてしまうところがありますから」



きっと碇は、私がこうして友達との写真を毎日眺めていることを知っている。

寝る前と朝起きたときは必ず手に取って、そのときの思い出をひとりで振り返る時間が好きだってこと。



「そうだっ!では今も撮りませんか?」


「…いま?」