もっと求めて、欲しがって、お嬢様。





碇、あなたはすでにSランクだって相手じゃないわ。

常にお嬢様のことを思って考えて、お嬢様を毎日笑顔にしてくれる。


お金じゃない、名誉じゃない、地位じゃない。


お金に囲まれて生きてきたお嬢様に、お金よりも大切なものがあると気づかせてくれた碇は、誰よりも素敵な執事だ。


だから─────、



「私の執事を馬鹿にしないで……!!碇はっ、碇は私にとっていちばん大切な存在なの…!!!
私の幸せは、私の笑顔は、碇がいるところにしか無いわ……っ!!」



碇、私はあなたが大好き。


こんなにも素直じゃなくて素っ気ないお嬢様のぶんまで笑顔を振り撒いてくれるあなたが、大好きよ。

あなたさえいれば他に望むものだってなくて、もう何もいらないわ。


言葉で伝えられないのはお互い様よ。


でも本当はお互いに伝わっているでしょう…?

私とあなたの絆は、そう簡単に切れるものではないから。



「理沙あぶない……っ!!!」



響いたエマの声。

傍らのテーブルに置いてあった中身の入っていないワイングラス。


なにをするのかと見ていれば、無表情の佐野様はそれを手にして再び振り上げた。