もっと求めて、欲しがって、お嬢様。





こんなにも恐ろしい顔をする人だったんだと。

私のことを血の通った人間とすら思っていない目だ。


それでも私の頭のなかは、面白いくらいにあなたでいっぱいなの碇。



『ねぇ碇、あなたはどうして執事になろうと思ったの』



なにをやらせても失敗ばかりで、物覚えも悪くて、執事じゃないほうがあなたらしく生きられるんじゃないかって。

高校に上がる前、私はふと聞いたことがあった。



『実は執事になったのは、えっと…、言ってしまえば成り行きなんです』


『…そうなの?』


『はい、昔から人に尽くすことは好きでしたので…!執事の家系だった知り合いに勧められて、無理なら辞めればいいかと思いながら自分を試すつもりで続けてきました』



それなら続けている理由はあるはずだ。

執事になった経緯は成り行きだとしても、ここまで続いている理由が。



『私は幼い頃からこんな感じで、周りに笑われてばかりいたんです』


『でしょうね』



私からのお高くとまった容赦ない返事に、こめかみを掻きながら苦笑いをして、碇はゆっくり話してくれた。