「つっても、俺の場合は花じゃなく四つ葉だったが」
「四つ葉…?」
「ああ、四つ葉のクローバー。…だからこそ、それを乗り越えた先にはありえないくらいの幸せが待ってた」
「……それは早瀬さんだからですよ」
無意識につぶやいてしまうと、「答え出てんだろそれ」と骨格を上げて見つめてくる。
なんのことか俺はすぐには分からなくて、さすがCランクだと言うように早瀬さんは続けた。
「俺とエマお嬢様にしかない幸せがあるように、お前と九条様にしかない幸せがあるってことだろ」
「……、」
「俺が九条様を幸せにしようとしてもできるはずがない。彼女を笑顔にできるのは俺じゃなくお前しかいないってことを、
たったいまお前は自分で言ったんだよ碇」
「───……!」
泣いていたなら、笑うまで楽しい話を聞かせる。
落ち込んでいたなら、ずっと傍にいる。
どんなわがままだって、無理なお願いだって、俺はあなたの言葉なら何だとしても聞く。
それは俺にしかできないからだ。
こんなにも簡単なことに気づかせてくれた早瀬さんは、俺の眼差しが変わったことをどこか喜んでいた。