「……そういう早瀬さんこそ、エマお嬢様ぜんぜん踊ってませんけど…」
むしろ御曹司からの誘いを断ってるくらいだ。
そんなところを先生に見つかって怒られてもいるし、理沙お嬢様の腕を引いて逃げている。
そこは俺も俺でエマお嬢様に感謝した。
「ぜったい応えるなって言ってある」
「……それ、執事が言っていいんですか」
「駄目だ。まあ俺はSランクだからな」
いや、逆だと思う…。
Sランクだからこそ許されないんじゃないのか普通は。
彼はどうしてSランクになれたんだろうと、失礼なことを考えてしまった。
「───…執事じゃなかったら良かったのかなって、俺は最低なことを理沙お嬢様に聞かせてしまいました」
執事じゃなくなれば、俺はあなたと結ばれることができたのかなって。
ずっと傍にいると約束したのに、俺から離れようとして泣かせてしまった。
「ほんと…最低です、俺」
理沙お嬢様以外のお嬢様なんか目にも入らないというのに。
俺にとって理沙お嬢様は最初で最後の、最高なお嬢様だ。
それなのに傷つけてしまった自分が情けなくて、悔しい。



