もっと求めて、欲しがって、お嬢様。





大体はそれ前に“執事として”の自分を取って守りに入るんだよ───。


俺たちがお嬢様に抱いてしまった気持ちは、言ってしまえば禁忌のようなもの。

そこに関しては納得できた。



「それに、去年の俺とまったく同じなんだよお前」


「…同じって、早瀬さんもエマお嬢様に指示を出させようとしたんですか…?」


「ああ、そうとしか動けないって思った。逆を言えば命令さえあればなんだとしても動く気だった。俺は」



確かにそう言われると同じなような気がしてきた。

でもだからといって俺がSランクになれるかどうかは、また別の問題だ。



「どうにかしてでも言わせようとしてたな」


「…でも、簡単には言ってくれないのがお嬢様ですよね」


「ふっ、確かにな」



こんなこと、お嬢様たちの前では言えない。

賑やかな今日だから分かち合える、執事仲間との他愛ない会話だ。


そんな俺の視線はただひとり、宝物である朱色を髪につけたお嬢様だけ。



「つうか碇、おまえ独占欲やばすぎだろ」



いつも付けているアスコットタイが無い首元を見つめてきた早瀬さんは、どこか鼻で笑った。

察した彼は、そのまま視線を理沙お嬢様の髪へと移す。