もっと求めて、欲しがって、お嬢様。





あのタイプは言葉だけでは終わらない。

いずれ手が加わることなど簡単に想像できる。



「とか言ってますけど…俺だって結局は情けないだけのズルい男なんですけどね、」


「ズルい?」



本当に不思議な人だ。

早瀬さんはもっとお高くとまっていい人間なのに、こうして誰に対しても対等に話すところがある。


そう言えばきっと、「それはエマお嬢様のおかげだ」と言うんだろう。



「“お嬢様の指示”としてしまえば、執事の俺でも許されるんじゃないかと勝手に決めつけて、わざと言わせたくて、
……そうやって理沙お嬢様を困らせてばかりいますから」



決してそれは理沙お嬢様に責任を負わせるためではない。

だけど俺のお嬢様はあまり気持ちを言ってくれないお嬢様でもあるから。


彼女が指示をしてくれたとき、それは本当の気持ちなんじゃないかと思うことだってできる。

むしろそう思いたいから言わせたいんだ俺は。


もっと俺を求めてほしい、もっと俺を欲しがってほしい。



「碇、おまえ近いうちSランクになるかもな」


「……へ?」



そんな早瀬さんから出た言葉は、まったく予想もしない返答だった。

俺が近いうちSランク……?
早瀬さんは何を言ってるんだろう。