もっと求めて、欲しがって、お嬢様。

碇side




「あっ、理沙!!ドレスかわいいっ!!髪もかわいいっ!!リボンついてる!」


「…そうでしょ?碇にやってもらったの」


「わあ!碇すごいね!!わたしもハヤセにぜんぶしてもらったよっ」


「あんたも今日は静かにしていれば立派なお嬢様よ、バカエマ」


「えへへっ」



舞踏会ホールへ到着すると、すでに賑わいを見せていた。

すぐにエマお嬢様は駆け寄ってくる。


緩やかな音楽はすべて生演奏。

これから素敵な夜が始まるんだと、意地でも思わせてくる不思議な空間だった。



「じゃあね、…碇」


「…はい。行ってらっしゃいませ」



執事は観客。

俺の手から離れるように、名残惜しい顔をしてドレスをなびかせながら表舞台へ進んでいった理沙お嬢様。



「……理沙お嬢様、」



可憐な背中を見つめて、名前を呼んだとしても。

聞こえてはいない背中はどんどん遠ざかってしまう。



「…!!」



と思えば、少し先で振り返ったお嬢様。

物理的には聞こえていないはずなのに、理沙お嬢様は俺を見つめてくれていた。