いつの間にこんなにも腕を上げたの?と、真面目に感心してしまった。
くくりあげることはせず、ハーフサイドアップにまとめられたモカカラー。
丁寧に器用に、いい意味で碇っぽくなく仕上げられている。
「気に入ってくださいましたか…?」
「………」
鏡に映った自分の姿にぼうっと見とれてしまって、返事をすることを忘れてしまった。
変な意味じゃなく、少し前に見てしまったテレビ番組がいけなかったんだと思う。
男は何らかの方法で、好きな女の子を自分のものだと知らしめたい願望が必ずある───なんて。
私物を持たせたり、自分の匂いをうつさせたり、ブレスレットやネックレスをプレゼントしたり。
私の髪にも似たようなジンクスが込められていたらと思うと、どこか恥ずかしくて、嬉しかった。
「理沙お嬢様…?」
「っ…!そ、そうね、前より腕を上げたじゃない」
「…ありがとうございます」
モカカラーと程よく似合っている朱色。
シンプルなドレスとの組み合わせも悪くなかった。



