世話焼き教師は、天邪鬼ちゃんを離さない


経験したことのない恐怖に、私は泣き出してしまった。



教室もざわついている。



「村上さんは僕が見ます。皆さんはそのまま接客を続けてください。女子はくれぐれも気をつけるように、男子も見張っててください」



先生はそう言うと、私を抱きかかえてその場を……抱きかかえて…??



いきなり浮遊感を感じたと思ったら、なんと先生にいわゆる「お姫様抱っこ」というやつをされていて。



突然のことで、涙がピタリと止む。



クラスの女子は悲鳴に似た声を上げ、顔を赤らめている。



多分、私も同じ。



「じ、自分で歩けるから降ろしてっ…!!」



「いーから、こういうときは甘えてよ」