「統和くんて、誰にでも優しいでしょう?頭も良くて、運動神経抜群で…彼を嫌いな人なんていなかったわ。女子なんて特に」 金木犀と店までをバックに、昔を懐かしむように視線を上げて話す姿は映画のワンシーンそのもの。 私よりも先生に釣り合っていると、嫌でも思わされる。 「苗字の関係で統和くんとは隣の席だったから、よくわからない所を教えてもらっていたの。特に数学だったと思う。とてもわかりやすくて、数学の先生になればいいと思ってた」 …何が言いたいのか、なんて聞かなくてもわかる。