「わかって2つ頼んだでしょ…っ」



「んー?なんのこと?」



ずるい大人って、きっとこういう人のことを言うんだ。



私の反応を楽しんで、からかって…酷い。



なのに、こんなに酷くてずるい人のことを好きな自分は、もっと許せない。



「ごめんごめん、なずなの反応って本当に可愛いからつい意地悪したくなっちゃう。…嫌だった?」



「っ…嫌だ」



嫌だよ、こんなの。



好きな人と間接キスして嫌な人なんていないって正当化しちゃうのも、「嫌じゃない」と言わせようとする先生も。



「ふっ…うん、ごめんね?」



ごめん、なんて微塵も思ってないくせに。



クレープを食べ終えるまで満足気な顔をした先生の隣は、苦行でしかなかった。