怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~

「本当のことを言うとこの前、車の中でキスしたのは……お前がどうしようもなく可愛くて、情けないが衝動を堪えきれなかった。しかも、それが初めてだって知って、もう叫びだしたいくらい……」

熱い吐息が交錯して漏れる声も掠れる。

「ムチャクチャ嬉しかった」

相良さんがそう白状すると、恍惚とする頭の中で“彼のすべてが欲しい”という思いで埋め尽くされた。隙間なく。

「も、もう、そんなこと言って、あのときはほんとにびっくりしたんですから、それに、もし私に恋人がいたら――」

「そのときは、そいつに宣戦布告するしかないな。俺の方が断然いい男だって、わからせるまでだ」

相良さんの瞳の奥に野性的に揺れる炎のようなものを見た気がした。ちょっぴり強引なアプローチをされて、それにすっかり蕩けてしまう。

「真希のこと、いますぐにでも抱きたい」

艶めいた声で囁かれ、相良さんがまっすぐに私を見据えている。「抱きたい」という意味は、ただ腕を回して抱きしめるとかそういうことではないことくらいわかる。

初めてだけど迷いも恐怖もない。相良さんにならすべてを委ねられる。そう確信して、私はコクンと小さく頷いた――。