そんなに私の申し出が意外だったのか、相良さんは信じられないといったふうにポカンとしたかと思うと、私を引き寄せギューッと力いっぱい抱きしめた。

「ちょ、さ、相良さん!」

「ああ、悪い。つい」

パッと相良さんに身を離され、胸を押さえて動悸を宥める。

相良さんって結構ボディタッチ多めだよね? これも海外暮らしが関係してるのかな?

「真希の食事が毎日食べられると思うと嬉しいよ。じゃあ、さっそく今夜から頼むな」

「はい。任せてください」

ほんのり照れくさそうに笑って私から顔を背けると、耳朶が淡く色づいていた。

なんか私まで照れくさくなってきたよ……。

いきなり食事の世話をするだなんて、恋人でもないのに出過ぎたことを言ってしまったかと思うけれど、あんなに嬉しそうにしてくれるなら私もやり甲斐がある。

それに相良さんは昨日今日初めて会った人でもない。会えない期間も長かったけれどまったく知らない間柄でもない。

やっぱり奥さんいないのかな? いたら家に私を連れて来たりしないよね? それに 
もし恋人がいたとしても、ほかの女の人に料理作ってもらおうなんていくらなんでも思わないはず……。

「ほら、急げ。お前も仕事だろ?」

「あ、はい」

結局、ふたりともなにも食べずに家を出て同じ職場へ車で向かった――。