怜悧な外科医の愛は、激甘につき。～でも私、あなたにフラれましたよね？～

この気持ち、言わないで隠しておくなんて、そんなの自分に嘘をついているみたいで嫌！だなんて、あのときの私の行動はまさに若気の至りという言葉がぴったりなくらい、今考えると人生最大の失態だった。相手のことも考えず、ただ突っ走って自分の気持ちをぶつけただけで、そのあとのことをまったく考えていなかった。

案の定、それっきり彼は店に顔を出さなくなってしまった。

“俺のこと、そういう目で見てたの？”とでも言いたげな困った彼の顔は、今でも脳裏に焼きついている。

そして数年経ったある日。突然、一家の大黒柱だった父が脳出血で倒れ、祖父の代から続いていたおのだ屋は店を畳むことになった。それ以来、相良さんとも会っていない。