怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~

うぅ、きもぢわるぃ。

完全に悪酔いしてしまった。しばらくしたら酔いが回ってきて店の中ではまだ保てていた平衡感覚もタクシーを待っている間にだんだん怪しくなってきた。

そういえば、久しぶりにお酒飲んだな。

だからこんなに酔っちゃったの? それとも相良さんといたから?

朦朧とした頭で考えてもなにも答えは出てこない。相良さんにタクシーに乗るように促され、言われるがままになっているといつの間にか知らない高級マンションの前に立っていた。

「あ、の……ここは?」

「俺のマンション」

「へ?」

それを聞いてすべての酔いが一気に吹っ飛んだ気がした。

彼の住むマンションは五十階建てで、エントランスはホテルのロビー並に広かった。ガラス張りのエントランスからは共用庭園が見え、玉砂利が敷き詰められた庭には小さな池や石灯篭なども置かれていて、ほかにもデッキテラス、コミュニティルーム、ラウンジ、展望ロビー、スポーツジムなどなどの施設が充実しているという。

「ここは西新宿で慶華大の病院までは目と鼻の先だ。ここから三十分もかからない」

西新宿といえば、オフィス街のコンクリートジャングルというイメージだったけど、こんなホテルみたいなマンションがあるなんて知らなかった。相良さんはいつ呼び出しがかかってもすぐ病院に駆けつけられるようにこの物件を選んだのだろう。

でも、どうして私をここへ連れてきたんだろう?