怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~

「こうしてふたりで飲んでるなんて、なんだか不思議な感じです」

「俺の中の真希はまだあどけなくてすぐ泣くような子どもだったからな、なんだかいけないことしてる気分だ」

すぐ泣くって、まぁ、しょっちゅう泣いてたのは否定できないけど……もうそんな子どもじゃないんだけどな。

こんがり焼いたベーコンにホクホクのじゃがいも、その上にとろりとしたチーズがかかった相良さんのオススメや、野菜たっぷりヘルシーな豆腐サラダ、ピザなどが次々と運ばれてきて、あっという間に目の前がいっぱいになってしまった。

「真希は昔からよく食べるからな、このくらいペロッといけるだろ?」

「はい! 美味しそうですね、どれから食べようか迷うなぁ。あ、取り分けましょうか?」

「ああ、俺はいい、適当に自分でやるから」

相良さんはなだらかに背中を曲げ、頬杖をつきながらニコニコと笑って私を見ている。

「なんか、楽しそうですね」

「まぁな、久々にゆっくりした時間が取れたし、それにお前といると自分がまだ医大生だったときのことを思い出す」

ともすれば店の喧騒に紛れてしまいそうな吐息混じりの相良さんの声に、自然と視線が吸い寄せられる。彼は私に横顔を向け、どこか遠くを眺めていて過去を思い返すようなその顔に、学生だった頃の相良さんの姿が重なった。