怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~

「ええ、まったく飲めないわけじゃないですけど、そこまで強くもないです。オススメとかあれば飲み物の注文は相良さんに任せます」

温かいおしぼりで手を拭くと、じんわりと身体に温もりが広がっていく。まだ冬というには早いけれど、上着がないと少し夜は肌寒い気候だ。すると、カウンターに肘をついた相良さんが横から顔を覗き込んできた。

「それって、俺の前では酔ってもいいってことか?」

「え?」

「任せるだなんて言って知らないぞ? 俺がわざと強い酒を注文するような悪い男だったらどうすんだ?」

相良さんが意味ありげにスッと目を細めて小さく笑う。

「べ、別にお酒で失敗したことないし、案外飲んでもちゃんと記憶あるんですよ、私」

「ふぅん、そういうときは“相良さんと一緒なら安心です”くらい言っとけよ」

そう言われると、いかに色気のない自分に気づかされる。

うぅ、そもそも男の人と一緒にお酒なんか普段飲まないし、それに相手が相良さんだと思うとなんか調子狂う。

「とりあえずビールか」

相良さんは飲み物と一緒に数品のつまみになりそうなものを注文し、しばらくしてビールの注がれたジョッキで乾杯した。