怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~

相良さんと連れ立ってやって来たのは、雑居ビルのような建物の五階にある隠れ家的なラウンジだった。病院の最寄り駅からも近い。

「こんな場所にラウンジがあったなんて知りませんでした」

「だろ? 俺の秘密の場所。誰にも教えるなよ?」

相良さんの秘密を共有してしまった。なんだかいけないことをしているような、そんな背徳感がこそばゆい。それにここは病院から近いこともあり、職場の誰かにみられたら、なんて思うと妙にドキドキする。

「いらっしゃいませ、二名様ですね」

店内は全体的に落ち着いていて、軽く落とされた照明が大人っぽい雰囲気を醸し出している。レジカウンターの前にショップカードが置いてあり、相良さんと初デートの記念に一枚もらってバッグに入れた。

平日だというのにテーブル席は満席で、笑顔で迎えてくれたスタッフからカウンター席に通された。
相良さんと隣り合って座ることに安堵の息をつく。目を合わせたら、緊張して不自然におかしな言動が見え隠れしてしまうかもしれない。だから何食わぬ顔で彼の向かいに座る自信がなかった。そして相良さんは間違いなくそういう私の心の揺らぎを察知する。

「酒は飲めるか? 俺の記憶にある真希はまだ未成年だったからなぁ。こうして飲みに来るなんて不思議な気分だ」

そわそわと視線を別の方向へ飛ばしていると、隣でメニューをめくりながら相良さんがのんびりとそう声をかけてきた。