怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~

「ほら、行くぞ。いつまでそんなとこで突っ立ってるんだ」

「あ、わっ」

理解が追い付かないまま相良さんに押し込まれるように建物の中へ入る。

「あぁ、そうだ。今夜食事に付き合ってくれないか? お前とゆっくり話がしたい」

「私と、食事に?」

相良さんに食事に誘われた。それだけでドキドキと胸が高鳴る。

「都合悪いか?」

誘われたことに一瞬戸惑っただけで拒否する理由なんかない。恥ずかしくて逃げ出したいのに気持ちが矛盾している。

「いえ、大丈夫です」

ブンブンと頭を振ると相良さんが小さく笑った。

「じゃあ、仕事が終わったらここで待っていてくれ」

「はい」

私の返事に満足したのか、相良さんはもう一度にこりと笑ってスタスタと先に歩いて行ってしまった。

どうしよう! 相良さんと食事に行くってわかってたら、こんな格好してこなかったよ。

目覚めが悪かったせいもあって、ぼんやりしたまま適当に服を選んで失敗した。洒落こんで出かける機会も少ないし、可愛い気の利いた服もあまり持ってない。今日なんて普通の白地のブラウスに淡い黄色のカーディガン、履きやすいからよく着まわしているプリーツの入ったベージュのスカンツだ。ネックレスやピアスも仕事中はできないからいつも身につけていない。

私って普段から結構、地味……だよね?

「いまさら気づいたの?」と、瀬々笑うもうひとりの私の声が聞こえたような気がした。