怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~

私にはいつも冗談ばかり言って明るい人だという印象だったけれど、父や母に見せる顔はまた別にあったのかもしれない。すると、また昨夜のキスのことが思い起こされ、急に頬に熱が集まってくる。

な、何考えてるんだろ、あれは相良さんの悪ふざけなんだってば!

「真希?」

「え? あ、ううん、なんでもないよ」

じっと下を見て一点を見つめる私を不審に思ったのか、覗き込まれた顔をフルフルと横に振って、乾いた笑いで「あはは」とその場を誤魔化す。

「真希、あなた相良さんのこと、まだ好きなの?」

突然、母に思いも寄らぬことを言われ、作り笑いを顔に張り付けたまま全身が固まる。飲み物なんて口にしていたら、うっかり父に向かって「ブーッ」っと、吹き出していたところだ。

「……へ!? な、ななに言ってるの? なんでそう思うの?」

私は昔から顔に出やすいタイプですぐに図星を指されてしまう。だから嘘や隠し事ができなくてよくからかわれる。おまけに母は私の考えていることをよく言い当てるから困ってしまう。「当たり前よ、母親なんだから」なんてよく言うけれど。見透かされているのが親だと思うと余計に恥ずかしい。

まさか、私がずっと好きだったこと……お母さん知ってたの?

あぁ、気まずい!

否定もできずにモジモジしていると母がニッと唇を弓型にする。