怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~

彼女いるのかな、いたとしたらどんな人なんだろう。

きっと美人で優しい人なんだろうな。家事も得意で相良さんと同じように頭もよくておまけにスタイルもよくて……。
はぁ、そう考えるとなんか切なくなってくる。

「お前、昨日彼氏なんていませんって言ってたよな?」

「へ?」

あまりにも唐突な質問に声が跳ね、俯き加減だった視線をあげる。

「はい。というか、今まで付き合った人もいません」

この年で今まで付き合った人がいない。なんて別におかしいことだとは思わないけれど、友人に言ったら「いまどき珍しい!」って茶化されたことがある。だけど相良さんは特になにを言うでもなく顔色ひとつ変えずに「ふぅん」と淡白に相槌を打った。

「今まで付き合った人もいない。なんて、そんなのいらない情報でしたね」

自分で言っておきながら後悔した。乾いた笑いを浮かべ湧いてくる気まずさに居心地の悪さを感じていると、タイミングよく私のアパートの前で車が止まった。