怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~

でも、実家も大病院なのに外部からの契約にすぐOKしたりするのかな?

実家を継ぐ前に外の世界も勉強しよう、ってことならわかるんだけど……。

なんとなくよぎった違和感が胸に引っかかる。

「たまたまこの前、時間ができたから久しぶりにおのだ屋に行ってみたんだが……隣のおばちゃんにおのだ屋がなくなったことを聞いたんだ。大変だったな」

「いえ、大変だったのは最初だけで……今は平気です」

どうしてアメリカから帰国して実家の病院に入らなかったのか尋ねようとしたけれど、相良さんの話に流されてタイミングを逃してしまった。

「そうか、あまり無理するなよ」

温かく、包み込むような声音に思わず瞳が湿ってくる。ぐっと堪えて答えると、なんだか早口になってしまった。

車はスムーズに新宿を抜け、私のアパート付近までたどり着いた。会話の合間にチラチラと運転する相良さんの横顔を盗み見てはドキドキして、そして改めて気がついたことがある。

今の相良さんはたくさんのことを経験して学生の頃よりもずっと男に磨きがかかったというか、今も昔も変わらず顔立ちは整っていて、ひとことでいうとカッコイイ。