怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~

相良さん、本当にオムライスが好きなんだな。

そんな相良さんを見ていると素直に嬉しい。それから話の流れでお互いの連絡先を交換してホッとひと息つく。

相良さんの車かぁ……。

車はある意味プライベートな空間だ。その中に入り込もうとしていると思うとなんだか妙な背徳感を覚える。

黒のレザーシートだからか、車内には自然な高級感が漂っていて、きちんと手入れされている。私は助手席に座り、続いて運転席に相良さんが乗り込むとナビを起動させて、住所は? と尋ねられた。

「ここからだと……少し時間かかるかもしれないが、まぁ、積もる話もあることだしな。急ぐか?」

「いえ」

「積もる話」と言われてドキリとする。ナビに住所を入力する彼の人差し指にふと目が行くと、さらに胸が波打った。

相良さんの指って、長くてしなやかで綺麗だな……。

この指先で器用に手術して、たくさんの命を救ってきたんだ。