怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~

“相良先生”ではなくうっかり“相良さん”と呼んでいたことに違和感を覚えたのか、尋ね返されてハッとなる。大抵の職員は「相良ドクター」とか「相良先生」と呼んでいるし、それにここの病院は職員を含め従事者が千人近くいる。同じ職場でも知らない顔も多い。

「あ、いえ、私、メルディーの従業員で……」

「職員の方でしたか、それなら連絡を取るようにこちらから伝えておきましょうか?」

「はい。お願いします」

「承知しました」

この人、相良先生とどういう関係?

身内でもないのにどうして入院費を?

と言わんばかりの不審な一瞥を向けられて、私は恐縮しながら「よろしくお願いいたします」ともう一度頭を下げ、そそくさとその場をあとにした――。