怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~

あっはっは、と呑気に笑うお父様は、心なしか性格が丸くなったような気がする。アメリカで生活をしていた時も、色々と有紗の洋服やらおもちゃなどたくさん送ってくれた。

「有紗、おじい様よ、ご挨拶して」

「さがらありさです。はじめまして」

はにかみながら有紗がペコリと頭を下げると、お父様はこれでもかというくらいに目尻を下げて破顔した。

「さ、じぃじのところへおいで、抱っこさせてくれ、この日が来るのをどんなに待ち望んでいたことか」

かがみ込んで両手を広げるお父様のもとへ走る有紗の小さな背中を見つめると、自然と笑みがこぼれる。

「聖一さん、今、私すごく幸せです」

そう言って見上げると、我が子に向けていた優しい眼差しをゆっくり私に移した。

「その幸せが永遠のものになるように、真希も有紗も俺が守るから」

「はい」

聖一さんがそっと私の手をとって優しい眼差しで微笑む。

「今夜はゆっくり二人だけの時間を過ごそうな。真希、ずっと愛してるよ」

そして大事なものを懐深くにしまいこむように、私の頭を胸に掻き抱いた――。 END