怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~

「親父も親父だが、その使用人も使用人だな、まったく呆れる。これから真希を連れて実家へ帰る。だからお前たちの仕事は終わりだ」

彼は私の背中に手をそっとあてがって、「行くぞ」と促した。

「怖かっただろ」アパートの部屋に戻るなり、そう言って聖一さんが私を抱きしめてくれた。

「ん……聖一さん」

重ねられる口づけ。そしてそのぬくもりに私は改めて安堵感に浸る。

「私は大丈夫です。前回は階段から落ちましたけど、今度は聖一さんがちゃんと守ってくれたから」

「そうか、間に合ってよかった。あのまま階段から落ちていたらと思うとゾッとする」

聖一さんは私の存在が無事にここにあることを確かめるように、抱きしめる腕に力を
込めた。