聖一さんが階段から転げ落ちる寸前で私を抱き留めてくれたからだ。そう気づくのに時間はかからなかった。
「お前、また階段から落ちて頭を打つ気か?」
わかりやすくホッとする聖一さんの顔を見たら、怖かった、不安だった、赤ちゃんに何かあったらどうしよう、という感情が込み上げてきて私は勢いよく彼の腕にしがみついた。
「戸塚、これはどういうことだ?」
戸塚、と呼ばれたリーダー格の使用人の男が黙って気まずそうに眼を泳がせる。視線をあげて聖一さんを見ると、男を鋭く睨みつけ今まで見たこともない形相で怒りを露わにしていた。
「どういうことだと聞いている。これは親父の指示か?」
「い、いえ……ですが、旦那様に知られるところとなったとしても、彼女をまた別の場所へ移動させるようおっしゃられるかと、ですから我々が事前に――」
「言われずとも仕事を片付けておこう、って? 違うな、俺たちが接触したことを証拠隠滅のため親父にバレる前になんとかしたかっただけだろ」
職務を全うできなかった後ろめたさを指摘され、図星だったのか使用人の男たちはそろって口をつぐんだ。
「お前、また階段から落ちて頭を打つ気か?」
わかりやすくホッとする聖一さんの顔を見たら、怖かった、不安だった、赤ちゃんに何かあったらどうしよう、という感情が込み上げてきて私は勢いよく彼の腕にしがみついた。
「戸塚、これはどういうことだ?」
戸塚、と呼ばれたリーダー格の使用人の男が黙って気まずそうに眼を泳がせる。視線をあげて聖一さんを見ると、男を鋭く睨みつけ今まで見たこともない形相で怒りを露わにしていた。
「どういうことだと聞いている。これは親父の指示か?」
「い、いえ……ですが、旦那様に知られるところとなったとしても、彼女をまた別の場所へ移動させるようおっしゃられるかと、ですから我々が事前に――」
「言われずとも仕事を片付けておこう、って? 違うな、俺たちが接触したことを証拠隠滅のため親父にバレる前になんとかしたかっただけだろ」
職務を全うできなかった後ろめたさを指摘され、図星だったのか使用人の男たちはそろって口をつぐんだ。



